日本の写真・風景|三重県・松阪市 宝塚古墳とはにわ館 他
|
宝塚古墳について
宝塚古墳(たからづかこふん)は、三重県松阪市宝塚町・光町にある古墳2基(宝塚1号墳・宝塚2号墳)の総称。宝塚古墳群を構成する古墳の2つ。国の史跡に指定され、1号墳の出土品は国の重要文化財に指定されている。 三重県中部、松阪市街地から南方約3キロメートル、阪内川右岸の低丘陵地(南北1キロメートル・東西1.25キロメートル)上に築造された古墳2基の総称である。一帯では1号墳を盟主墳とする少なくとも88基の古墳が確認されており、これらは宝塚古墳群として認知されたが、1号墳・2号墳のほかに4号墳が現存する以外は戦中・戦後の開墾・宅地開発で消滅している。
1号墳・2号墳は、それぞれ当時の伊勢地方を代表する大型前方後円墳・帆立貝形古墳で、古墳時代中期の5世紀初頭・5世紀前半頃の築造と推定され、相前後する首長墓に位置づけられる。特に1号墳では多量の円筒埴輪の樹立が認められるとともに、出島状施設(造出の類型)の全面的発掘調査が実施されて多種多様な形象埴輪の製作も認められており、築造にはヤマト王権からの後援が想定される。その背景として、ヤマト王権の外港と見られる近隣の古代港の的潟(まとかた)との関連が注目されており、同様の様相を示す古墳として三河湾沿岸部の正法寺古墳(愛知県西尾市)も知られることから、これらの地が海上交通の拠点として王権から重要視された様子が示唆される。
宝塚古墳公園
■宝塚古墳は、松阪の市街地から南に3kmほど離れた丘陵上にあります。1号墳と2号墳からなる古墳で、昭和7(1932)年に国史跡に指定されました。 宝塚古墳公園は、平成17年4月27日に開園しました。宝塚1号墳の墳頂からは、松坂城跡や市街地、堀坂山系など周辺の大パノラマを楽しむことができます。
宝塚古墳公園 案内図
|
宝塚古墳公園 海抜表示
|
古墳時代の松坂 紹介
|
|
|
|
宝塚古墳公園 大型前方後円墳・帆立貝形古墳・宝塚1号墳 出島状施設(造出の類型)
|
|
★宝塚1号墳は、古墳時代中期の5世紀初頭頃の築造と推定される。被葬者は明らかでないが、当地の豪族の飯高氏祖とされる乙加豆知命(おとかずちのみこと、『皇太神宮儀式帳』等に見える人物)に比定する伝承がある。 墳丘北側には出島状施設(造出の類型)が付され、発掘調査ではその全面調査が実施されているが、特に多種多様な形象埴輪が出土した点が特筆される。
墳丘長:111メートル/後円部 - 3段築成。 直径:75メートル 高さ:10メートル(出島状施設裾から)/前方部 - 3段築成。 幅:66メートル 高さ:8.1メートル(出島状施設裾から)
★宝塚2号墳は、1号墳の北方に位置する。形状は帆立貝形古墳。 墳形は、前方部が短小な帆立貝形の前方後円形(または造出付き円墳)で、前方部を南南東方(1号墳の方角)に向ける。墳丘は後円部が3段築成、前方部が2段築成で、前方部の一部(東隅)は道路工事の際に削平されている。墳丘表面では葺石・埴輪が検出されている。 埴輪のうちでは1号墳で見られる壺形埴輪は無くなり、代わって朝顔形埴輪(壺形埴輪と円筒埴輪が一体化したもの)。 古墳時代中期の5世紀前半頃の築造と推定される。
墳丘長:約90メートル/後円部 - 3段築成。 直径:83メートル 高さ:10.5メートル/前方部 - 2段築成。 長さ:17メートル 幅:39-40メートル 高さ:2.9メートル
|
宝塚2号墳
|
宝塚古墳 説明書き
|
宝塚古墳 石碑
|
|
|
|
★造り出し(つくりだし)とは、古墳に直接取り付く、半円形もしくは方形の壇状の施設である。「造出し」、「造り出し」とも表記される。造出は納棺後の祭祀(追善供養)を行うための場であったと考えられている。 東西18m、南北16m、高さ2m。 まつりの場。
出島状遺構:方形の島状遺構に墳丘と接続する陸橋が付いた遺構で、広義では造出に含まれる。三重県城之越遺跡や奈良県南里大東遺跡で確認された導水施設の構造に類似し、また水鳥形埴輪や船形埴輪、井戸形土製品などの水に関係する遺物が多く確認されていることから、水の祭祀が行われていたと考えられている。宝塚古墳1号墳、巣山古墳、湊茶臼山古墳で確認されている。
|
造り出し(つくりだし)と土橋
説明書き
|
造り出しに配置された埴輪(レプリカ)
盾形埴輪 円筒埴輪
|
|
|
|
造り出しに配置された埴輪(レプリカ)
船形埴輪 家形埴輪
|
宝塚1号墳の前方部
から見た造り出し
|
|
|
|
正面が宝塚1号墳の後円部、左が前方部、右下が造り出し 縦に走るすのこの下あたりが土橋。 造り出しと墳丘の間をつなぐ、長さ5m、幅約2mの土橋。
|
|
宝塚1号墳の
前方部から後円部へ
|
宝塚1号墳後円部頂上
から松阪市街地 伊勢湾
|
宝塚1号墳後円部頂上
から堀坂山系
|
|
|
|
はにわ館(松阪市文化財センター)
■平成12年度からおこなった宝塚1号墳造り出しの発掘調査では、船形埴輪をはじめ、家形・囲形・蓋(きぬがさ)形・盾形・壺形などさまざまな埴輪が良好な状態で発見されました。 当時の古墳でおこなわれた首長の葬送儀礼を研究する上で貴重な資料として、出土した埴輪271点は平成18年6月に国の重要文化財に指定されました(平成23年6月には5点が追加指定され、計276点になりました)。
現在は松阪市文化財センター(はにわ館、松阪市外五曲町)で保管・展示されている。
松阪市文化財センター(はにわ館、松阪市外五曲町)
|
はにわ館入り口わきにある創作埴輪
|
はにわ館中庭の船形埴輪(レプリカ)
|
|
|
|
はにわ館入口展示
円筒埴輪(宝塚1号墳)
|
はにわ館入口展示
須恵器(大分山10号墳)
|
はにわ館入口展示
弥生土器(草山遺跡)
|
|
|
|
★松阪市平成町 大分山10号墳は、古墳群(12基)の一つ。現在は中部平成台という住宅団地になっています。 近くに巫女や馬の埴輪が出土した常光坊谷古墳がある。
★草山遺跡 : 三重県松阪市下村町・久保町 弥生時代 主な遺構:竪穴建物、掘立柱建物、方形周溝墓 主な遺物:弥生土器
■宝塚古墳 模型
縁取りをしたように埴輪が周囲を覆っている。
宝塚1号墳 全体 周囲を埴輪が埋め尽くしている
|
宝塚1号墳 造り出し(つくりだし)と土橋
|
宝塚2号墳 全体
|
|
|
|
★宝塚1号墳の出土品(国の重要文化財)
古墳のマツリの場とされる「造り出し」の周囲からたくさんの埴輪がみつかりました。
三重県埋蔵文化財センター主幹の穂積裕昌(ひろまさ)さんは昨年発刊した『船形埴輪と古代の喪葬 宝塚1号墳』(シリーズ「遺跡を学ぶ」117、新泉社)で、殯施設の本質的機能を〈被葬者の霊魂が悪霊・邪霊に依り憑(つ)かれるのを排除し、死者霊の悪霊化を阻止して封じ込め、安寧のまま鎮葬することにある〉とし、そのために遺体を清浄に保つことが必要であったと論じる。
① [船形埴輪 1号船] 宝塚1号墳の象徴的な埴輪で、土橋東裾に位置する。全長140センチメートル・高さ94センチメートルを測る大型船形埴輪で、長さの点では岡古墳(大阪府藤井寺市)出土埴輪に次ぐ全国第2位、高さの点では全国最大の規模になる。 この埴輪は、地中に埋めた楕円形台座2基の上に船体がはめ込まれて据えられていた。 船体は準構造船で、船首・船尾は大きく反り返る。船首・船尾には鰭飾り、舷側板頂部には櫂を固定するピボット3対、内部には仕切り板として装飾隔壁4個がそれぞれ付される。 船内器財類としては、推定船首側(土橋側)から装飾隔壁・大刀・装飾隔壁・石見型立物(鑓の表現か)・不明器物(円孔のみ)・石見型立物・装飾隔壁・蓋・装飾隔壁が並ぶ。
東殿塚古墳(奈良県天理市)出土埴輪の線刻では船首側に大刀、船尾側に蓋が描かれており、同様の古墳時代の習俗を示すとして注目される。また三重県尾鷲市の二木島祭(三重県指定無形民俗文化財、近年は中止)の関船では、船首側に薙刀、船尾側にカサブキ・鉾が載せられており、その習俗との対応を指摘する説もある。
[船形埴輪 2号船] 土橋西裾に位置する。船体中央部の破片のみの検出で、円筒埴輪に詰め込まれた状態で発見されたが、この詰め込みは後世の造作とされる。
|
船形埴輪 1号船 全長140cm・高さ94cmを測る大型船形埴輪
|
|
②[囲形埴輪] 船形埴輪とともに宝塚1号墳を象徴する埴輪。 出島状施設の東西両裾に導水施設型1点・湧水施設型2点の計3点が配される。
南郷大東遺跡(奈良県御所市)で検出された導水施設や、伊勢神宮外宮(伊勢市豊川町)の上御井神社・下御井神社の社殿構成との対応が指摘される。
|
囲形埴輪(湧水)
|
囲形埴輪(導水)
|
|
|
王や首長にとっての水の祭祀の重要性を古くから論じてきた辰巳和弘・元同志社大学教授も「尽きることなく湧きあふれ出る水は地霊や生命の永続性の表象と考えられました。 首長がその水を飲むことで、地域支配と、その永続性をわがものとする聖水の祭儀が行われたのです」と話す。
|
囲形埴輪 / 囲形埴輪
|
|
③[壺形埴輪・円筒埴輪] 墳丘上で列状に配され、墳丘を囲繞する。これらは大量に検出され、1号墳以前の南伊勢の古墳とは一線を画する様相になる。 壺形埴輪は、二重口縁壺形埴輪・鍔付壺形埴輪の2種。二重口縁壺形埴輪は全て出島状施設に樹立される。二重口縁壺形埴輪は在地的要素であり、鍔付壺形埴輪は大和・河内的要素(外来的要素)になる。 円筒埴輪は、二条突帯三段構成・三条突帯四段構成の2種。二条突帯三段構成埴輪は鍔付壺形埴輪と組み合わされて使用され、三条突帯四段構成埴輪は単独で使用された。また円筒埴輪のごく一部には、5世紀前半の河内地域の特徴を有する高い技術レベルの埴輪が認められており、同地の工人が技術指導にあたった可能性が指摘される。
|
円筒埴輪
|
|
④[家形埴輪] 出島状施設や前方部上に配される。多くは高床入母屋形式。一部には鰭飾、斗束、鰹木の表現も見られる。
|
家形埴輪
|
家形埴輪
|
家形埴輪
|
|
|
|
柱状埴輪
|
⑤[柱状埴輪(柵形埴輪/塀形埴輪)] 主墳丘・出島状施設に配される。2点1対で配され、門柱の表象と推定される。
⑥[器財埴輪] 上記以外の器財埴輪として、盾形埴輪、靫形埴輪、甲冑形埴輪、蓋形埴輪、冠形埴輪、高坏形埴輪、鳥形埴輪が検出されている。 ⑦[土器・土製品] 土師質の土器・土製品として、前方部端部から胴部穿孔小型壺・S字甕片、出島状施設周辺からミニチュア鳥形土製品片(埴輪付属品か)・食物形土製品片、後円部墳頂からミニチュア高坏形土製品・笊形土製品が検出されている。
|
|
盾形埴輪
|
盾形埴輪
|
蓋形埴輪
|
|
|
|
★松阪市文化財センター市民ギャラリー棟は、国登録有形文化財 旧カネボウ綿糸松阪工場綿糸倉庫 平成14年7月16日 国登録文化財登録
作成にあったては、Wikipediaやはにわ館(松阪市文化財センター)
当地HP・パンフレット等を参考にしています。
|
|
|
日本の写真・風景|三重県・松阪市 宝塚古墳とはにわ館 他
|
|